1時間200円の動画編集環境(コスト試算編)

AWSAmazon Web Services)上にDaVinci Resolveの動画編集環境を作ってみる。環境を作るにあたり、まずは料金を計算してみる。なお、結論から言えば、Linux OSであれば1時間あたり200円弱、Windows OSであれば300円弱となった(ブログ投稿時点の各種価格より。詳細は後述)。

仮に1日あたり1~2時間使うと、Linux OSの場合は月額が6000円~12000円くらい。格安とは言えないが・・・ある程度のスペック(16 vCPU、64GBメモリ、GPU搭載等)のマシンを、使わないときは最低限の維持費のみにできたり、環境が不要になったら簡単に削除できるのと・・・料金は跳ね上がるが、一時的にハイスペック(64 vCPU、256GBメモリとか、48 vCPU、192GB、4つのGPU搭載とか)に変更して使うことができたりするのは便利だと思う。

環境構成について考える

サーバ

GPUを搭載したEC2サーバを使う。今回はインスタンスタイプはg4dn(NVIDIA T4 GPU)を選択。g4adというAMDGPU搭載インスタンスもあって料金が若干低めだが、Linux版DaVinci ResolveはNVIDIA GPUじゃないとMP4ファイルが扱えないらしいので、見送った(Windows OSでDaVinci Resolveを使う場合は、g4adでも良いのかも)。

OS

DaVinci Resolveの推奨するLinuxディストリビューションはCent OSのようだが、UbuntuAmazon Linux等でも問題なく動作するようなので、今回はAmazon LinuxAmazon Linux 2)を使うこととした。Windowsの場合はWindows Server 2019あたりが無難か。

リモートデスクトップ

NICE DCV を使う。Windowsの場合は標準のリモートデスクトップ接続でも良さそうだが、NICE DCVを使うとキーボードやマウス以外のUSB機器、例えばDaVinci Resolve Speed Editor等もネットワーク越しにリモート環境に接続することができる。

AMI

AWS Marketplaceには各種ソフトウェアがインストール済みのAMI(Amazon Machine Image)が色々あり、Linuxの場合はMarketplaceのAMIを利用したほうが手間が省けそう。ということで使えそうなAMIを検索してみると・・・

なんとDaVinci Resolve 17 Studio入りのBlackmagic Design公式AMIがあるではないか(OSはCentOS 7)。ただし、インストールされているのはStudio版なので別途ライセンスキーが必須なのと、対応しているインスタンスタイプがg4dn.4xlarge以上と若干自由度が低い。ほかの2つはNVIDIAドライバがインストール済みなのと、3つ目のAMIはNICE DCVまでインストール済みなので・・・今回は3つ目のAMIに手作業でDaVinci Resolveをインストールして使うことにする。

スペックと利用料金

アジアパシフィック(東京)リージョンでの時間あたりの利用料金を計算してみる。

Linux

合計すると、1時間あたり約188円(1.642USD、1USD=115円の計算)。

AWSサービス スペック 料金 備考
EC2 g4dn.4xlarge(16 vCPU、64MBメモリ、1 GPU、225GB NVMe SSD 1.625(USD/時間) オンデマンド料金。稼働時のみ課金される
EBS 汎用SSD(gp2)100GB 1GBあたり0.12(USD/月) 例えば100GBを確保し続けると月額12ドルで、時間あたり約0.017ドル
AMI NICE DCV for Amazon Linux 2 - 無料

※データ転送料金については、インターネット→EC2の料金は無料、EC2→インターネットの料金は100GB/月までは無料なので、表には含めず。

Windows

合計すると、1時間あたり約273円(2.378USD、1USD=115円の計算)。

AWSサービス スペック 料金 備考
EC2 g4dn.4xlarge(16 vCPU、64MBメモリ、1 GPU、225GB NVMe SSD 2.361(USD/時間) オンデマンド料金。稼働時のみ課金される
EBS 汎用SSD(gp2)100GB 1GBあたり0.12(USD/月) 例えば100GBを確保し続けると月額12ドルで、時間あたり約0.017ドル
AMI Microsoft Windows Server 2019 Base - 無料

※データ転送料金はLinux同様。

メモ

  • g4dnインスタンスはEBSとは別にNVMe SSDが125GB~1.8TBがEC2利用料金の枠内で使えるのが嬉しい。ただし、インスタンスを停止/起動するとデータが消去される揮発性のストレージなので、DaVinci ResolveプロジェクトのProxyやキャッシュファイルといった消えてもよいデータ用の領域として使うのが良さそう。
  • EC2にはスポットインスタンスという格安インスタンスも存在するが・・・利用申請したところ却下されたので、オンデマンドインスタンスを使うこととした。
  • アジアパシフィック(東京)リージョンよりも料金設定の安いリージョン(例えば米国西部(オレゴン))を選べばさらに安く利用可能だが・・・リモートデスクトップが遅くて使い物にならなそう。
  • 仕事等で本格的に使うとなるとEBSが100GBでは足りず、EBSの容量を増やしたりS3やEFS上に各種メディアファイルを保存して使うことになるだろうから、利用料金はもっと高額になると思う。

構築編

書きました。 davmemos.hatenablog.com